
テーブル席が3つに、カウンター4席。
たった7坪の小さなお店から黒5は始まりました。
開店当初、来てくれるのは友人ばかり。
「お前の店なら行くよ」と言って足を運んでくれた仲間たちに、どれだけ励まされたか分かりません。
本当にこの頃は、友達の支えがあってこその毎日でした。
そして、忘れられないのが大家さんの存在。
「様子を見に来たぞ」と言いながら、毎晩のようにお酒だけ飲みに来ては、女性スタッフのいずみちゃんにちょっかい。
いずみちゃんも苦笑いしながら相手をしてくれて、店の中はいつも笑い声が絶えませんでした。
今思えば、あの頃の黒5は“人”でできていました。
小さな店の中に、友情と人情と、ほんの少しのドタバタ劇。
それこそが、黒5の原点だったのかもしれません。

テーブル席3つ、カウンター4席。
わずか7坪の小さな黒5は、いつも友人たちに支えられていました。
でも現実は厳しく、お客様は一向に増えず、お肉だけが余っていく日々…。
「こうなったら、試食してもらうしかない!」
そう思い立ち、店頭で焼肉の試食会を始めました。
ただ、ここは池袋のホテル街。
歩いている人たちの目的は、焼肉とはまったく違うところにあります。
だから試食をお願いしても、ほとんどの人は足を止めてくれません。
それでも僕らはくじけず、毎日ひたむきに焼き続けました。
湯気と香ばしい匂いが路地に広がり、少しずつ少しずつ、立ち止まってくれる人が増えてきました。
やがて試食をきっかけにお客様が来てくれるようになり、黒5はようやく「お店」として動き始めたのです。

あまりにもお客様が来ないので、お肉がたくさん余ります。
だからこそ、スタッフみんなで焼肉を食べまくる毎日でした。
そうして食べ続けるうちに気づいたことがあります。
それは、部位によって「口に入れたときに一番おいしく感じる形や厚さ」がまったく違うということ。
ロースは薄切りが合うけれど、カルビは厚めが旨い。タンは歯ごたえが心地よい厚さがある…。
まるで理科の実験をしているように、僕らは日々試しては学び、また食べては確かめていました。
余ったお肉は確かに大変でしたが、その経験こそが「黒5らしい焼肉」の原点になったのだと思います。

黒5では、お肉の部位ごとに「幅」「厚さ」「何グラム」という細かい基準があります。
この基準は365日、ほとんどズレることがありません。
なぜなら、この頃に「決まった形にならないものはお客様に提供しない」と心に決めたからです。
見た目の美しさや食感、口に入れた時の満足感まで。
すべてはそのひと口を最高にするためのこだわりです。
余った肉で試行錯誤を重ねた日々が、今の黒5の基準を作り上げました。
しかし――。
そこにはまた、新たな壁が待ち受けていたのです。

よし!これから頑張って、どんどん店を盛り上げるぞ――。
そう意気込んでいた矢先、思いもよらない出来事が起こりました。
突然のアクシデントで、救急車に運ばれることに…。

僕は情けなくも、ウイルス性髄膜炎という病にかかり、約1か月間、現場を離れることになってしまいました…。
開店したばかりで、これから頑張っていくぞというタイミングでの長期離脱。
本当に情けなくて、悔しくて、ベッドの中で何度も天井を見上げました。
「こんな大事な時にごめんなさい。後は頼んだ…」
そう口にするたび、胸の奥が締め付けられるようでした。
家族や仲間に頼るしかない自分が、あのときはただただ情けなかったのです。
つづく。

「焼肉 黒5」は池袋で創業して以来、変わらぬ味とこだわりを守り続けています。
黒5の店舗紹介|池袋と歌舞伎町に展開

店名:焼肉 黒5 本店
住所:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目46−3 シーマ100ビル 1F
最寄駅:JR池袋駅西口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:30(L.O.23:30)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 池袋東口店
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目42−16 ニードビル 2F
最寄駅:JR池袋駅東口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 歌舞伎町
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-21-4 三経ビル1F
最寄駅:西武新宿駅 徒歩5分/新宿三丁目駅 徒歩7分
営業時間:18:00~翌5:00(L.O.4:00)
定休日:年中無休
公式Instagram:@kuro5yakiniku