店長日記

タレに漬けると肉は柔らかくなる?焼肉“下味”の真実

焼肉の“タレ漬け”神話、信じていませんか?

「タレに漬けておけばお肉が柔らかくなる」——そう思っている方は多いはずです。家庭でも、前日から漬け込んでおくと美味しくなる気がしますよね。しかし実は、この“タレ漬け神話”、科学的には少し誤解があるんです。

肉の柔らかさを左右するのは「筋繊維」と「水分保持力」。タレに含まれる成分が、この2つにどう作用するかがカギになります。

塩分が肉を“締める”こともある

焼肉のタレに多く含まれるのが塩分。塩はたんぱく質を変性させ、水分を外に出す作用があります。つまり、長時間漬け込みすぎると逆に肉が締まって固くなるという現象が起きるのです。

ただし、塩分濃度が低ければ話は別。短時間であれば表面にうま味をまとわせ、焼いたときの香ばしさを引き立ててくれます。要は「漬ける時間」と「タレの濃さ」のバランスがポイントです。

糖分・果実酵素は“柔らかさ”をサポート

一方で、タレに含まれる砂糖や果汁は肉を柔らかくする方向に働きます。砂糖は水分を保持する効果があり、果汁(特にキウイやパイナップルなど)に含まれる酵素は筋繊維を分解してくれます。

ただしこれも「過ぎたるは及ばざるがごとし」。果汁の分解力が強すぎると、肉が“ドロッ”とした食感になってしまうことも。プロの現場では、酵素の強い素材は少量を短時間だけ使うようにしています。

“下味”の目的は味を染み込ませることではない

意外に思われるかもしれませんが、焼肉の世界で「下味をつける」のは“味を染み込ませる”ためではありません。

タレは肉の表面に“うま味の膜”をつくり、焼いたときの香りと照りを引き出すもの。だから、漬け込むよりも焼く直前に軽く絡めるほうが、香ばしさも食感も際立ちます。特にサシの入った部位では、脂の甘みを邪魔しないタレの使い方が大切です。

部位によって“タレの向き・不向き”がある

赤身系の部位(ハラミ・ロース)はタレとの相性が良く、焼きながら絡めることで香ばしさと旨味が引き立ちます。

一方で、脂の多いカルビやリブロースは、タレ漬けにすると焦げやすくなるため、むしろ後づけ(焼いた後にタレをくぐらせる)スタイルが最適です。

焼肉店の厨房では、部位ごとに“タレの役割”を使い分けています。これが、同じタレでも味が違って感じる理由なんです。

家庭での“ちょうどいいタレ漬け”のコツ

  • タレ漬けは20分以内(塩分の影響を最小限に)
  • 果汁系タレは10分以内(酵素の分解を防ぐ)
  • 焼く直前に再度軽く絡めることで香りと照りを出す

これだけで、プロの焼き上がりにぐっと近づきます。

焼肉の“美味しさ”は、漬けるより焼きで決まる

肉の味を決めるのは、漬け込みより火入れの技術です。同じ肉でも、焼き方ひとつで柔らかさも風味もまったく違ってきます。タレはその魅力を引き立てる“名脇役”のような存在。主役はいつだって、肉そのものの力です。

黒5の実践例

焼肉の“下味”には、実は繊細な理論があります。そこでご紹介したいのが、東京・池袋と歌舞伎町に展開する焼肉店「黒5」です。黒5は、和牛の希少部位をリーズナブルに提供するスタイルで人気を集める焼肉店。スタッフが高温の炭火でお肉を丁寧に焼き上げる「焼き奉行スタイル」によって、最高の焼き加減で楽しめるのも魅力です。

実際に黒5では、タレ漬けの工程を極力短くし、焼く直前に肉の表面にだけ軽くタレを絡めています。これにより、焦げずに香ばしく仕上がり、肉本来の甘みとタレのうま味がバランスよく調和。店内ではタレの種類も部位ごとに調整し、ハラミにはコクのある醤油ベース、赤身にはさっぱりした果実系を合わせるなど、“漬けすぎない”ことを徹底するのが黒5流のこだわりです。

「焼肉 黒5」は池袋で創業して以来、変わらぬ味とこだわりを守り続けています。

黒5の店舗紹介|池袋と歌舞伎町に展開

店名焼肉 黒5 本店
住所:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目46−3 シーマ100ビル 1F
最寄駅:JR池袋駅西口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:30)
定休日:年中無休

店名焼肉 黒5 池袋東口店
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目42−16 ニードビル 2F
最寄駅:JR池袋駅東口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:年中無休

店名焼肉 黒5 歌舞伎町
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-21-4 三経ビル1F
最寄駅:西武新宿駅 徒歩5分/新宿三丁目駅 徒歩7分
営業時間:18:00~翌5:00(L.O.4:00)
定休日:年中無休

公式Instagram@kuro5yakiniku

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