焼肉屋さんのメニューを見ていると、「厚切り特選タン」や「薄切り上ロース」といった言葉が目に飛び込んできますよね。網の上にのせたときのジュウッという音、立ち上る香り……想像するだけでお腹が鳴ってしまいそうです。
でも、ふとこんな疑問を持ったことはありませんか?
「なぜ、お肉によって分厚く切ったり、薄くスライスしたりするんだろう?」
「全部、ステーキみたいに分厚い方が贅沢で美味しいんじゃないの?」

実は、スーパーで買った高級なお肉を「せっかくだから!」と分厚く切って焼いてみたら、なんだか硬くて噛みきれなかった……という失敗談は少なくありません。
焼肉におけるお肉の「厚さ」は、決して適当に決められているわけではありません。そこには、お肉の繊維、脂が溶け出す温度(融点)、そして口に入れたときの食感のバランスを極限まで計算した、プロの「最適解」が存在するのです。
今回は、知っていると次回の焼肉が100倍面白くなる、お肉の「厚さ」に隠された美味しい魔法について、たっぷりと深掘りしていきます。
Contents
すべては計算されている?お肉の厚さが決まる3つの基準
焼肉店の厨房では、肉の塊を前にした職人が、その日のお肉の状態を見極めながらミリ単位で厚さを調整しています。彼らが基準にしているのは、主に以下の3つの要素です。

- 筋繊維の太さと向き(噛みきれるかどうか)
- 脂の量と融点(脂が溶けてしつこくならないか)
- 水分量と肉汁(旨味をどうやって閉じ込めるか)
同じ牛から取れたお肉でも、よく動かす部位は繊維が太くて硬くなりやすく、あまり動かさない部位は柔らかくなります。この生まれ持ったお肉の「性格」に合わせて、一番美味しく食べられる厚さの衣装を着せてあげるのが、カットの役割なのです。
それでは、具体的に「厚切り」が向いているお肉と、「薄切り」が向いているお肉の違いを見ていきましょう。
分厚いからこそ感動する!「厚切り」が至高の部位

「厚切り」の魅力は、なんといってもその圧倒的な満足感と、口の中で肉汁が爆発するようなジューシーさにあります。厚切りに向いている代表的な部位といえば、「タン塩」と「ハラミ」です。
厚切り特選タン塩の秘密
牛の舌であるタンは、先端(タン先)に行くほどよく動かすため硬く、根元(タン元)に行くほど脂がのって驚くほど柔らかくなります。

この「タン元」の最も良い部分(芯の部分)だけは、あえて分厚くカットするのが王道の正解。なぜなら、タン元の細かい繊維は、分厚く切って表面をカリッと香ばしく焼いても、中はサクッと簡単に噛み切れるという奇跡のような性質を持っているからです。
分厚いタンを噛み締めた瞬間、外側の香ばしさと、内側に閉じ込められた熱々の肉汁が口の中で弾ける感覚は、厚切りでしか味わえない極上のエンターテインメントです。
ハラミが厚切りを求める理由
ハラミもまた、厚切りでこそ真価を発揮する部位です。ハラミは赤身のように見えますが、実は「横隔膜」という内臓(ホルモン)の筋肉。繊維が太く、お肉の中にたっぷりと水分(肉汁)を含んでいるのが特徴です。

もしハラミをペラペラに薄く切ってしまったら、焼いた瞬間に大切な水分が網の下へポタポタと落ちてしまい、パサパサの食感になってしまいます。
だからこそ、ハラミは2〜3センチほどの分厚いカットが理想。厚みを持たせることで肉汁の防波堤を作り、網の上でコロコロと何度も転がしながら「ゆっくり中まで火を通す」ことで、繊維が優しくほぐれ、驚くほどしっとりとした柔らかさに仕上がるのです。
【通の裏技】あえて「薄切り」で楽しむ極上のタンとハラミ
ここまで「タンやハラミは厚切りが至高」とお伝えしてきましたが、実は焼肉のプロや通の間で愛されている「裏技」が存在します。それは、厚切りに適したハラミやタン元を、あえて薄く切ってレアに仕上げるという食べ方です。

たとえば、上質な和牛のタン元。これを薄切りにして、網の上でサッと表面をカリッと香ばしく焼いてみてください。薄いのに、噛んだ瞬間に驚くほどジューシーな肉汁が溢れ出し、厚切りとはまた違った軽快な食感と濃厚な旨味を堪能できます。
また、ハラミも同様です。極上の和牛ハラミを薄くスライスし、サッと炙る程度のレアな火入れで口に運ぶと、熱でとろけた脂の甘みと赤身のコクがダイレクトに舌に伝わります。
私たち「焼肉 黒5」では、一番美味しいと感じていただける王道の厚さでご提供していますが、ご予約時などに前もってご要望をいただければ、こうした「薄切りカット」にも喜んで対応いたします。いつもの厚切りに慣れた方は、ぜひ次回、この通の食べ方をリクエストしてみてください。
薄いからこそ魔法がかかる!「薄切り」が輝く和牛の世界

一方で、「分厚ければ分厚いほど良い」というわけではないのが和牛の面白いところです。特に、上質な和牛の「赤身肉」や「ロース」においては、あえて薄切りにすることで、驚くべき魔法がかかります。
和牛特有の「低い融点」という才能
和牛の脂(サシ)は、外国産の牛肉に比べて「融点(脂が溶け出す温度)」が非常に低いという特徴を持っています。人間の体温よりも低い温度で溶け出すため、口に入れた瞬間にフワッととろけるような感覚を味わえます。
しかし、この極上のサシが入った部位をステーキのように分厚く切って焼肉にしてしまうと、どうなるでしょうか。脂のボリューム感が勝ってしまい、数枚食べただけで「もうお腹いっぱい……」と胃もたれしてしまう原因になります。
「極薄カット×ローリング焼き」という最適解
たとえば、牛のモモ肉の中でも特に柔らかく、繊細なサシが入る「シンシン」という希少な部位。

これをあえてミリ単位の極薄にスライスします。そして、網の上で平らに焼くのではなく、お肉を「くるくると筒状に巻いて」炙るように焼くのです。薄切りにすることで、熱がサッと入り、和牛の繊細な脂が最も美味しい状態に溶け出します。さらに、くるくると巻いて層を作ることで、薄切りなのに口の中では「ミルフィーユのようなふんわりとした厚み」を感じることができるのです。
網から引き上げ、特製のタレとわさびをつけて口に運べば、噛む力なんてほとんど必要ありません。舌の上でフワッととろけ、赤身の深い旨味と脂の甘みが一瞬で脳を突き抜ける。これこそが、大人が胃もたれせずに和牛を最後まで堪能できる「薄切りの魔法」なのです。
美味しさを左右する「隠し包丁」という職人技
厚切りと薄切りの違いを知ると、もう一つ気になってくるのが、お肉の表面に入れられた細かな切れ目、「隠し包丁」の存在です。

特に厚切りのお肉や、少し弾力のある部位には、プロの職人が必ずと言っていいほど包丁でスリット(切れ目)を入れています。これはただ見た目を綺麗にするためではありません。
- 繊維を断ち切り、柔らかく噛みきりやすくするため
- お肉が焼けるときに縮んで反り返るのを防ぐため
- 塩やタレの味が、お肉の内部までしっかりと絡むようにするため
「分厚いのに柔らかい」「味がしっかり染み込んでいる」。私たちが焼肉店で当たり前のように感じている感動の裏には、こうした職人の緻密なカット技術と、1ミリの厚さにこだわる執念が隠されているのです。
焼肉の網の上は、小さな科学の実験室
いかがでしたでしょうか。
「厚切りタン」は肉汁を爆発させるための分厚さであり、「薄切りロース」は和牛の脂の溶け具合を計算し尽くした究極の薄さだったのです。

次に焼肉屋さんに行ったときは、ぜひお皿に盛られたお肉の「厚さ」に注目してみてください。
「このハラミは分厚いから、じっくり育ててみよう」「この薄切り肉は、サッと炙るだけでいけそうだな」。そんな風に考えながらお肉を焼く時間は、まるで網の上の小さな科学の実験室のようで、いつもの焼肉が何倍も美味しく、そして楽しくなるはずです。
もし「どのお肉を、どう焼くのが一番美味しいのか分からない!」というときは、迷わずお肉のプロに焼いてもらうのが一番です。
本格的な和牛焼肉をフルアテンドで味わうなら「焼肉 黒5」へ

私たちが提供する本格和牛焼肉では、お肉のカットごとに異なる最適な焼き加減を、スタッフがお客様の目の前で「フルアテンド(焼き奉行スタイル)」で仕上げます。もちろん、事前のご要望に応じた「裏技カット」もお任せください。
極上の和牛が持つ本当のポテンシャルを体験しに、ぜひお近くの店舗へ遊びにいらしてくださいね。
店名:焼肉 黒5 本店
住所:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目46−3 シーマ100ビル 1F
最寄駅:JR池袋駅西口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:30)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 池袋東口店
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目42−16 ニードビル 2F
最寄駅:JR池袋駅東口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 歌舞伎町
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-21-4 三経ビル1F
最寄駅:西武新宿駅 徒歩5分/新宿三丁目駅 徒歩7分
営業時間:18:00~翌5:00(L.O.4:00)
定休日:年中無休

