焼肉屋の暖簾をくぐり、炭火の香りに包まれる瞬間。それは、一日の疲れが期待へと変わる合図です。とりあえずのタン塩で乾杯し、カルビやロースといった王道の正肉(赤身)を堪能する。ここまでは、多くの焼肉ファンにとっての「黄金ルート」ではないでしょうか。

しかし、宴もたけなわ、中盤戦に差し掛かったところで、私たちは大きな岐路に立たされます。メニューの「内臓(ホルモン)」欄の前で、ふと手が止まるのです。
「今日は、脂が弾けるホルモンでガッツリといきたい気分か?」
「それとも、ミノのあのザクザクした食感をアテに、しっぽりと杯を傾けたいか?」
いわゆる「白モノ」と呼ばれるこの二大巨頭。どちらも焼肉には欠かせない存在ですが、その性格はまるで正反対です。脂の甘みで脳を揺さぶるホルモンと、淡白ながら奥深い食感で通を唸らせるミノ。この二つの違いを深く理解すれば、焼肉というエンターテインメントはもっと面白くなります。
今回は、知っているようで意外と知らない「ミノ」と「ホルモン(小腸・大腸)」の正体、そして「お酒にもご飯にも最高に合う」その魅力を深掘りしていきます。これを読み終わる頃には、きっとあなたは焼肉屋の予約画面を開いていることでしょう。
Contents
1. ミノの正体:貝柱のような食感が生む「至福のアテ」
まずは、白モノ界の重鎮「ミノ」から紐解いていきましょう。焼肉通の間では「ミノに始まりミノに終わる」と言われることもあるほど、実は奥が深い部位なのです。
牛の「第一胃」が生む強靭な筋肉

ミノは、牛に4つある胃のうちの最初の胃、「第一胃(ルーメン)」を指します。牛は食べた草を消化するために反芻(はんすう)を行いますが、その時に大量の草をかき混ぜ、すり潰す役割を担っているのがこの第一胃です。
想像してみてください。毎日大量の牧草を力強く消化し続けている胃袋です。当然、その筋肉は強靭に発達します。あの独特のコリコリ、いや、ザクザクとした歯切れの良い食感は、牛が健康に育った証でもあるのです。ちなみに「ミノ」という名前は、開いた形が昔の雨具である「蓑(みの)」に似ていることから名付けられました。先人たちのネーミングセンスには驚かされますね。
「上ミノ」と普通のミノ、決定的な違いとは?
メニューを見ていると「上ミノ」という文字が目に入ります。「上」がつくと何となく高級そうですが、具体的に何が違うのでしょうか。
実はこれ、単なるランク分けではありません。ミノの中でも、肉厚で脂をうっすらと含んだ「一番分厚い中心部分(ミノサンドと呼ばれることも)」だけを選りすぐったものが「上ミノ」と呼ばれます。牛一頭から取れる量は限られており、非常に貴重な部位です。

普通のミノがコリコリと少し硬めの食感であるのに対し、上ミノは包丁を入れるとサクッと切れるほどの柔らかさを持っています。例えるなら、高級なホタテの貝柱のような、繊維がほぐれる感覚に近いかもしれません。焼肉店で「上ミノ」を見つけたら、それは迷わず注文すべきサインです。
お酒好きを虜にする「淡白な旨味」のマリアージュ
ミノの最大の特徴は、内臓肉特有のクセや臭みが非常に少なく、淡白であること。これはつまり、どんなお酒にも寄り添う「万能なアテ」になり得るということです。
・塩ミノ × レモンサワー/ハイボール
塩とごま油でシンプルに味付けされたミノを、炭火でサッと炙る。レモンをキュッと絞って口に放り込めば、ザクッとした食感とともに磯の香りのような淡い旨味が広がります。そこへ、キンキンに冷えた強炭酸のレモンサワーやハイボールを流し込む。脂っぽさがないため、口の中は常にリセットされ、無限に飲み続けられる危険なコンビネーションです。
・味噌ミノ × 赤ワイン/焼酎ロック

一方で、濃厚な味噌ダレを纏ったミノはどうでしょうか。炭火で少し焦げた味噌の香ばしさは、ボディのしっかりした赤ワインや、芋焼酎のロックを強く求めます。噛めば噛むほどに滲み出るミノの旨味と、味噌のコク。これはまさに「大人のための焼肉」と言えるでしょう。
2. ホルモンの正体:脂の甘みが爆発する「ご飯の特等席」
対するは、脂の王様「ホルモン」。一般的に焼肉店で「ホルモン」と注文すると、小腸(コプチャン)や大腸(シマチョウ)が出てくることがほとんどです。関西では「テッチャン」とも呼ばれ、そのプルプルとした見た目は食欲をそそる最強のビジュアル担当です。

脂のエンターテインメント「小腸(コプチャン)」
一般的に「ホルモン」として提供されることが多いのが小腸です。筒状のまま脂を閉じ込めた「丸腸(マルチョウ)」もこの部位。最大の特徴は、何と言ってもその「脂の量」と「甘み」です。
網に乗せた瞬間、脂がパチパチと音を立てて滴り落ち、炭火から「ボッ」と炎が上がる。あのライブ感も含めてホルモンの魅力ですよね。口に入れた瞬間にトロリと溶け出す脂は、まさに天然のソース。濃厚でクリーミーな味わいは、一度ハマると抜け出せない中毒性を持っています。
噛みごたえと旨味のバランス「大腸(シマチョウ)」
表面に縞模様が入っていることから「シマチョウ」と呼ばれる大腸。小腸に比べると脂は少なめで、その分、皮(粘膜)の部分に厚みがあります。

ホルモン特有の「クニュッ」とした弾力と、適度な脂の甘みのバランスが絶妙で、「脂っこすぎるのは苦手だけど、ホルモンの旨味は楽しみたい」という方に愛される部位です。噛む回数が増える分、味わう時間も長くなり、満足感が高いのも特徴です。
「白米」も「ビール」も止まらない魔力
ホルモンが罪深いのは、ご飯とお酒、どちらの誘いも断らない「全方位外交」な点にあります。
まず、ご飯との相性について語らせてください。こんがりと焼けたホルモンを、タレにたっぷりとくぐらせる。それを炊きたての白米の上に「ワンバウンド」させる。この儀式こそが焼肉の醍醐味です。
脂とタレが染みたご飯を、ホルモンと一緒に頬張る。口の中で脂の甘みと米の甘みが融合し、そこへタレの塩味がアクセントを加える。これはもはや、一種の完成された料理です。「焼肉屋の主役はカルビ」と思われがちですが、白米を最も輝かせるのは、間違いなくこのホルモンの脂でしょう。

しかし、ホルモンの真骨頂はここからです。その濃厚な口当たりを、冷たい生ビールで一気に洗い流す快感。脂の重みがビールの苦味と炭酸でリセットされ、喉の奥がキュッと引き締まる瞬間。この「脂 × ビール」の往復運動こそ、明日への活力を生むエンジンのようなもの。ホルモンは、ご飯のおかずであると同時に、最強の「お酒の加速装置」でもあるのです。
3. どっち派?タイプ別・今夜のあなたへの推薦状
ここまで読んで、「結局どっちを頼めばいいの?」と迷ってしまった方もいるかもしれません。ミノとホルモン、どちらが優れているという正解はありません。その日の気分や体調、そして「何を飲みたいか」によって、ベストな選択は変わります。
「ミノ派」をおすすめしたい夜
・二軒目を見据えて、お腹に溜まりすぎないものを楽しみたい時
・「とりあえずビール」から卒業し、日本酒やワインをゆっくり味わいたい時
・「最近、脂っこいのが少し重くて……」と胃腸を気遣いたい時
・食感フェチで、咀嚼する喜びを感じたい時

ミノは高タンパクで低カロリー、そしてビタミンB12なども含まれるヘルシーな部位です。罪悪感なく焼肉を楽しみたい夜や、会話を楽しみながらちびちびと摘みたい夜には、最高のアテとなってくれるでしょう。
「ホルモン派」をおすすめしたい夜
・今日はとにかく自分を甘やかしたい時
・仕事で疲れていて、ガツンとしたパワーチャージが必要な時
・生ビール、ホッピー、ハイボールを豪快に飲みたい時
・「焼肉と言えば白米!」というライス至上主義の方

ホルモンに含まれる脂質はエネルギーの源。また、プルプルとした食感の素であるコラーゲンも豊富に含まれています。肌寒い夜や、スタミナをつけたい時には、迷わずホルモンを選んでみてください。
4. 失敗しない「焼き」の極意:脂から焼くのが正解
内臓肉を美味しく食べるために避けて通れないのが「焼き」の技術です。特にホルモンは、焼き方ひとつで味が劇的に変わります。
常識を覆す「脂から」の理論
一般的な焼肉の教本では「ホルモンは皮から焼く」と書かれていることが多いのをご存知でしょうか? しかし、私たち黒5の考え方は逆です。
「まずは、脂から焼く」

これが、本当に美味しいホルモンの焼き方です。上質な和牛のホルモンが持つ脂は、いわば旨味の塊。皮から焼いてじっくり火を通している間に、大切な脂がダレてしまったり、落ちてしまったりするのはあまりにも勿体無い。
高温の備長炭で、まずは脂の面を焼く。これにより、表面を一気にコーティングし、中の甘みと旨味をギュッと閉じ込めるのです。脂がカリッと香ばしく焼け、中がトロッとジューシーに仕上がる。これぞホルモンの理想形です。
「飲み込みどき」問題とプロの技
「でも、脂から焼くと火柱が上がって焦げちゃうんじゃ……?」
その通りです。脂から焼くのは非常に難易度が高く、一歩間違えれば黒焦げになってしまいます。だからこそ、黒5では「フルアテンド(スタッフが全て焼く)」スタイルを貫いているのです。
私たちスタッフは、火の強弱を見極め、脂を落としすぎず、かつ焦がさない絶妙なタイミングで焼き上げます。「いつ飲み込めばいいの?」という疑問も、私たちが「今です!」という最高の状態でお皿にお届けするので、もう迷う必要はありません。
5. まとめ:焼肉の奥深さは「内臓」にあり
カルビやロースといった正肉が焼肉の「華」だとしたら、ミノやホルモンは焼肉文化を支える「土台」であり「深み」そのものです。
一頭の牛から取れる様々な部位。それぞれの役割や特徴を知り、自分好みの焼き加減やタレ、そしてお酒とのペアリングを見つける。そうすることで、焼肉という食事は単なる「肉を焼いて食べる行為」から、知的好奇心を満たす「体験」へと変わります。
「今日はミノの気分かな」「いや、ホルモンで白米をかき込みたいな」。そんな風に、自分の体調や気分と対話しながらメニューを選ぶ時間は、何にも代えがたい贅沢なひとときです。
最高の「白モノ」体験を、黒5で
もし、あなたが池袋や歌舞伎町で、本当の「内臓肉の旨さ」に出会いたいと思ったなら、ぜひ「焼肉 黒5(クロゴ)」の暖簾をくぐってみてください。
私たちは、A-5ランクの和牛を中心とした最高品質の肉を仕入れることはもちろん、その下処理にも一切の妥協を許しません。特にミノやホルモンといった内臓肉は、鮮度と丁寧な仕込みが命です。臭みを一切感じさせないクリアな味わいと、計算し尽くされた隠し包丁による心地よい食感をお約束します。
そして「教養としての焼肉」を、ぜひその舌で確かめてください。お酒もご飯も進む至福の時間が、あなたを待っています。

「焼肉黒5」は新宿歌舞伎町と池袋西口と池袋東口に店舗を構える焼肉店です。2008年の創業以来、和牛の質、炭火焼き、そしてスタッフが全て焼き上げるスタイルにこだわり、池袋の“カジュアル和牛焼肉”の先駆けとして支持されています。
黒5の店舗紹介|池袋と歌舞伎町に展開

店名:焼肉 黒5 本店
住所:〒171-0014 東京都豊島区池袋2丁目46−3 シーマ100ビル 1F
最寄駅:JR池袋駅西口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:30)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 池袋東口店
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目42−16 ニードビル 2F
最寄駅:JR池袋駅東口 徒歩5分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:年中無休
店名:焼肉 黒5 歌舞伎町
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-21-4 三経ビル1F
最寄駅:西武新宿駅 徒歩5分/新宿三丁目駅 徒歩7分
営業時間:18:00~翌5:00(L.O.4:00)
定休日:年中無休
公式Instagram:@kuro5yakiniku

